ピロリ菌って何者?

監修:
兵庫医科大学 ささやま医療センター 病院長
福田 能啓 先生

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)、その正体は?
発見者は? 胃の中で悪さをするピロリ菌について

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ヘリコバクター・ピロリ
提供:浅香正博先生

ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく悪い菌です。

本体の長さは4ミクロン(4/1000㎜)で、2,3回、ゆるやかに右巻きにねじれています。
一方の端には「べん毛」と呼ばれる細長い「しっぽ」(べん毛)が4~8本ついていて、くるくるまわしながら活発に動きまわることができます。

※強い酸性の胃酸から胃を守るはたらきがある表層粘膜の中で動きまわるので、胃酸攻撃にあわず生きることができます。


ピロリ菌は悪い細菌

ピロリ菌は、胃の粘膜に生息しているらせん形をした悪い菌で、主に胃や十二指腸などの病気の原因になります。
子供の頃に感染し、一度感染すると多くの場合、除菌しない限り胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌に感染すると、炎症が起こりますが、この時点では、症状のない人がほとんどです。
大人になってから感染すると激しい胃の症状をみることがあります。
さらにピロリ菌の感染が続くと感染範囲が「胃の出口」の方から「胃の入口」の方に広がって、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)がすすみます。この慢性胃炎が、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がん、さらには全身的な病気などを引き起こすおそれがあることが明らかになってきました。


強い酸性の胃の中でもピロリ菌はへっちゃら

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ピロリ菌はウレアーゼをだして、胃の中の尿素を分解してアンモニア(アルカリ性)のバリアを作り、胃酸から身を守っています。

胃の中には、食べ物の消化を助け、食べ物の腐敗を防ぐために、胃液が分泌されています。胃液には、金属でも溶かしてしまう強い酸(塩酸)が含まれているため、胃の中は強い酸性(pH1~2)で、通常の菌は生息できません。
ピロリ菌が活動するのに最適なpHは6~7で、4以下では、ピロリ菌は生きられません。それなのに、なぜピロリ菌は胃の中で生きていけるのでしょうか?
秘密はピロリ菌がだしている「ウレアーゼ」という酵素にあります。この酵素は胃の中の尿素を分解してアンモニアを作りだします。アンモニアはアルカリ性なので、ピロリ菌のまわりが中和され、胃の中でも生き延びることができるのです。


べん毛の役割はオリンピック競技にたとえるとすれば、金メダル級

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ピロリ菌は、べん毛を使って前後に移動します。

ピロリ菌はべん毛をスクリューのように回転させながら、らせん状の本体を回転させて移動します。
スクリューを逆回転にすればバックもできます。
ピロリ菌はべん毛を1秒間に100回転くらい回転させて、自分の10倍ほどの長さを移動します。この移動の速さは、人間で言うと100mを5.5秒で泳ぐほどの猛スピードですから、オリンピックなら間違いなく金メダルです。
べん毛は、胃の中でも酸の弱そうなところを探すセンサーの役割をしているという説もあります。べん毛の先端についている袋のような膜には、べん毛を胃酸などから守る役割があると考えられています。


コラム:ピロリ菌の発見



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