ピロリ菌の発見

監修:
医療法人協和会第二協立病院 院長
福田 能啓 先生

ピロリ菌の発見はイースター祭がもたらした!?

ピロリ菌の発見

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2005年にノーベル医学・生理学賞を受賞した
ウォーレンとマーシャル

ピロリ菌はオーストラリアのロイヤル・パース病院のウォーレンとマーシャルという2人の医師によって発見されました。
医学界ではその100年ほど前から、胃の中にらせん形の細菌がいるという説が出ていましたが、胃の中は強い酸性だから細菌は生息できないという説が有力になっていました。 そんななかで1979年に病理専門医のウォーレンは、胃炎を起こしている患者の胃の粘膜にらせん形の菌がいることを発見しました。そこで、同じ病院に研修医としてやってきたマーシャルとともに、この菌が胃の中で生きていることを証明しようと研究を進めました。


ピロリ菌の発見は偶然のたまもの

ウォーレンとマーシャルは、細菌学の父といわれるコッホが提唱した「ある細菌がある病気の原因である」と証明するための4原則、「コッホの四原則」に基づき、らせん菌を分離・培養しなければなりませんでした。

コッホの四原則

  1. その病気のすべての患者にその細菌がいる
  2. その細菌は他の病気の患者にはみられない
  3. 患者から分離したその細菌を投与すると別の個体に同じ病態が現れる
  4. 病気を引き起こした別の個体から、同じ細菌が証明できる

※コッホの四原則とは、ドイツの細菌学者ロベルト・コッホがまとめた、感染症の病原体を特定する際の指針のひとつです。
ロベルト・コッホは、1905年にノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

通常の細菌の培養では、菌を培地に植え付けて、培養器に入れてから48時間後に培養できたかどうか確認します。2人もそのようにしていましたが、なかなかうまく培養できませんでした。 たまたま、マーシャルがイースター祭の休暇をとり、5日間も培養器に入れた菌をほったらかしてしまいました。これが35番目の検体でした。
「しかたない。また、やり直しだ」とあきらめかけたそのとき、培養器をよく見ると、なんと、そこには直径1mmの透明な菌の固まりができていました。これがピロリ菌発見の瞬間です。1982年4月14日のことでした。じつは、ピロリ菌は培養に4日間を要するため、これまではなかなか培養できなかったというわけです。

さらに1984年7月、マーシャルは培養したこのらせん菌を飲み込んで、自分の胃に胃炎が起こるかどうかを調べました。10日目に胃の組織を取って調べると、急性胃炎がおこっており、そこにはあのらせん菌が存在していました。 これでコッホの4原則がみたされピロリ菌が胃炎を起こすことが証明されました。
日本では兵庫医科大学が1984年に初めてピロリ菌の培養に成功しました。


名前の由来

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ピロリ菌の正式な名前は「ヘリコバクター・ピロリ」(Helicobacter pylori)です。
「ヘリコバクター」の「ヘリコ」は「らせん形」を意味する「ヘリコイド」からきた言葉で、ヘリコプターの「ヘリコ」も同じ意味です。「バクター」は「細菌」を意味する「バクテリア」のことです。「ピロリ」とは、胃の出口のほうをさす「幽門」(ゆうもん)のことで、多くがそのあたりで見つかっていることに由来します。 つまり! ピロリ菌の名前は「幽門にいるらせん形の細菌」という意味なのです。



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